鍼治療と筋・筋膜性疼痛症候群(MPS)

 

筋・筋膜性疼痛症候群(MPS)とは?

筋・筋膜性疼痛症候群(MPS)とは、筋膜の異常によって痛み、凝り感、しびれ等が引き起こされる病気のことで、簡単に言ってしまえば筋肉の『コリ』による諸症状です。

腰痛、頭痛、肩凝り、変形性関節症、坐骨神経痛(椎間板ヘルニア脊柱管狭窄症)、四十肩・五十肩など整形外科領域の痛みのうち、かなりの割合がコリに起因している可能性があり、画像所見に基づいた治療が成果に結びつかない一因となっています。

また、コリがしびれやめまい、関節の動きの制限、脱力感といった痛み以外の症状を引き起こすケースもしばしばあります。

 

このように様々な症状に関連する筋・筋膜の異常『コリ』は、レントゲンやMRIなどの検査では検出されないため見逃されてしまう可能性が高く、ヘルニアなど健常者でも見つかるような画像上の所見が痛みの原因だと判断されてしまうことがよくあります。

原因を探るための画像検査がかえって仇となり治療を難渋させてしまうという、何とも皮肉な話があなたの周りでもごく当たり前のように起こっているのです。

 

 

異常を起こしやすい筋肉

ご存知のとおり、筋肉は身体の運動に関わる器官です。

例えば歩く、走る、階段の昇り降りなど明らかな身体の動きは勿論のこと、立っている時や座っている時の姿勢の保持にも筋肉の働きは不可欠で、沢山の筋肉が協調して働くことで目的とする運動が遂行されています。

沢山ある筋肉の中で特に悪くなりやすいのが姿勢保持に関わる筋肉です。

 

姿勢を保つということは、言い換えれば関節を動かさないように固定することを意味します。固定に作用する筋肉は休むことなく頑張り続ける必要があるため、持久性に富んではいるものの異常を来しやすいのです。

 

 

筋・筋膜性疼痛症候群における鍼治療の有用性

ここで腰痛を例に、よく行われるマッサージやストレッチと鍼治療を比較してみましょう。

 

一般的なマッサージや指圧の場合、皮膚のすぐ下にある筋肉が問題であれば十分に効果的な刺激となるのですが、実際には浅い部分にある筋肉だけが悪くなっていることはあまりありません。

関節を固定し姿勢を保持する筋肉が悪くなりやすいことは先に述べましたが、これらの筋肉の多くは身体の深いところに存在しています。皮下すぐの浅いところにある筋肉とは違い、深部の筋肉を手で刺激するのは技術的に難しく物理的にも限界があります。

つまり一般的なマッサージや指圧では悪くなった筋肉を処理しきれず十分な効果が得られないことが多いのです。

 

では、ストレッチはどうでしょうか?

ストレッチの場合、ある筋肉の緊張が目的とする筋肉のストレッチを妨げることがあります。つまり伸ばしたい筋肉が十分にストレッチされる前に他の筋肉がストレッチに耐えられなくなり、結果として目的とする筋肉がストレッチされないということが起こり得ます。

仮に邪魔をする筋肉がなくても、ストレッチで特定の部分(悪くなっている箇所)を選択的に伸ばすのは困難です。ストレッチはピンポイントで悪い所を伸ばすというよりも筋肉全体を伸ばしてリラックスさせるのに向いていると言えるでしょう。

 

マッサージやストレッチの他に、湿布や磁石付きのシールなどの対処法もありますが、いずれも表面的な部分にしか影響しないと思われます。

 

異常を来しやすい深部筋へのアプローチという点において、鍼の場合は技術的・物理的な制約はほぼありません。通常のマッサージや指圧では突破できないような硬い構造も貫くことができ、深い所も容易に刺激することができます。

身体の構造を熟知したうえで用いるなら、鍼治療は安全且つ強力な手段であると言えるでしょう。

鍼治療と筋・筋膜性疼痛症候群はとても相性が良いのです。

 

 

まとめ

筋肉の異常は一般的な画像検査では検出されず、筋・筋膜性疼痛症候群(MPS)に対する適切な治療がなされないまま慢性痛に至るケースが非常に多いと考えられます。そのため、なるべく早い段階で適切に対処することが望まれます。

筋・筋膜性疼痛症候群(MPS)はマッサージなどの徒手的なアプローチでも対応可能ですが、深部筋や腱・靭帯を効率よく刺激できる鍼を活用することでより一層の効果が期待できます。

 

痛そうというイメージや、何に効果があるのか分からないなどの理由から鍼治療を敬遠する方も多いですが、鍼の強みや適応を知っておけば、いざという時の選択肢が増えるのではないでしょうか。

あなたがもし痛みで困ったときには治療の選択肢として鍼も検討してみてくださいね(^^)

 


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