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鍼灸の保険適用について

鍼灸の保険適用について

保険適用の可否は鍼灸の受療を左右する大きな要素の一つです。
ここでは鍼灸の受療を検討する方の参考になるよう、鍼灸の保険適用について解説していきます。

鍼灸治療における保険適用の制約

鍼灸治療は、誰でも、どんな症状でも無条件に保険が適用されるわけではありません。保険の取り扱いが医療機関等と異なり、様々な制約が存在します。
ここでは鍼灸治療における保険適用の主な制約を5つご紹介します。

  • 保険適用の範囲
  • 医師の同意
  • 施術期間
  • 受領委任払いと償還払い
  • 医療機関との併用
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保険適用の範囲

鍼灸は非常に幅広い疾病・症状に対して用いられる施術ですが、保険が適用されるのは下記の7つに限定されます。

  • 神経痛
  • リウマチ
  • 頚腕症候群
  • 五十肩
  • 腰痛症
  • 頚椎捻挫後遺症
  • その他慢性の疼痛を主訴とする疾病
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医師の同意

上記の対象疾病に当てはまっているからといって、鍼灸院に保険証を持参するだけでは保険適用とはなりません。保険で鍼灸の施術を受けるためには、事前に医師の同意を得る(正確には同意書又は診断書を書いてもらう)必要があります。

参考までに、施術開始までの基本的な流れを以下に示します。

鍼灸院で同意書を受け取る

医師に必要事項を記入してもらう

完成した同意書を持って鍼灸院へ

施術開始

 
施術開始までの流れは煩雑ではないものの、医師の同意が得られず保険適用に至らないケースは少なくありません。
もちろん快く同意してもらえることもありますが、どちらかというと同意書の記入に慎重な姿勢を示す医師の方が多いようです。

いずれにせよ、医師の同意を取りつけることは、鍼灸の保険適用における最大のハードルとなっているのは間違いないでしょう。

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施術期間

保険で鍼灸を受療できる期間は、同意書の発行から6カ月です。そこから更に継続して施術を受けるには、医師の診察を受けて再同意を得なければいけません。

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受領委任払いと償還払い

受領委任払い:窓口で施術費の1~3割を自己負担として支払う
償還払い:窓口で一旦施術費の全額を支払い、後から保険者に申請して自己負担分以外を払い戻してもらう

保険者が受領委任払いに対応していない場合など、償還払いとなるケースでは、受療者自身による手続きの手間が発生します。

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医療機関との併用

そもそも鍼灸の保険適用は、医師による適当な治療手段がないことを前提としています。そのため、同一症状に対して、鍼灸と医療機関での治療とを併用することは認められません。

例えば、腰痛に対する鍼灸施術を受けながら、医療機関でも腰痛の治療を受けることはできません。
もしも医療機関で同じ症状に対する治療を受けた場合、鍼灸の施術は保険適用外として扱われることになり、自費での支払いが発生します。

注射はもちろん、薬や湿布を処方してもらうだけでも治療とみなされるため、同じ症状で医療機関にかかる際には注意が必要です。

以上のように、鍼灸の保険施術は何かと制約が多く、現状では手軽に利用しにくいということがお分かりいただけたかと思います。

保険での鍼灸受療を検討されている方は、金銭的メリットと様々な制約とを天秤にかけ、どちらを選択すべきか慎重に判断してください。

整骨院での保険施術

保険取り扱いについて引き合いに出されるのが整骨院です。

「以前行ってた整骨院では保険で鍼もマッサージもやってくれた」

このように仰る方は大変多いのですが、医師同意のもと鍼灸を受療していたという話はほとんど聞きません。

同意書なしに支払いが安くすんでいたのであれば、捻挫や打撲の施術に対する窓口負担だけだった(つまり鍼灸はサービスでやってくれた)か、数百円程度の鍼灸施術料が合わせて徴収されていたかのどちらかだと考えられます。

ちなみに整骨院では、打撲や捻挫、肉離れ、負傷の原因がはっきりしている筋違いやぎっくり腰などに対して保険が適用されます。その一方で、慢性的な症状の施術やマッサージ代わりの利用は保険適用になりません。

「整骨院=保険を利用できるマッサージ屋さん」という甘い認識で通院していると、後々面倒なトラブルに発展する可能性があります。当院に来られる方からも、そのようなトラブルを経験したという話をよく伺うようになりました。
現在通院中の方はもちろん、これから通院予定の方も、不要なトラブルを避けるために適切な利用を心掛けましょう。

施術者情報

タニダ鍼灸治療院 代表 谷田陽平

氏名:谷田 陽平
所有資格:はり師、きゅう師(鍼灸師)
講師歴等:KTPトリガーポイント研究会技術指導講師、関西医療学園専門学校非常勤講師